日本財団 図書館


 

●ボランティア団体の立ち上げまでの手続き

 

では私がタイムダラーをマイアミでどのように作っていったかをお話します。まず、タイムダラーに協力してくれる団体、つまりパートナーを集めました。パートナーをどの様なところから集めたかと言いますと市民団体、特別養護老人ホーム、病院、保健所、それから自治体などに協力をお願いし、協力会を作りました。そしてこの会で「ファンドレイジング=資金集めの委員」「マーケティング=市場調査をする委員」「リクルートメント=募集をする委員」「規約を作る委員」「パブリックリレーション=広告をする委員」「トレーニング=養成をする委員」を作り、週に1回地域で集まることにしました。
第2のステップとして私がしたことは、私たちのグループの目的を明確にしました。目的を明確にする前にその地域でのマーケティングリサーチ・市場調査をしました。市場調査のなかで私たちはいったい何をするグループなのか、何をしたいのか、この地域では何が必要なのか、どれくらいの人口をタ一ケットにしているのか、どういった年齢層をターゲットにしてサービスを進めていくのか、そのようなことを宿題として皆で勉強しあいました。今申し上げましたことは助成金申請のための準備として知っておかなくてはいけないことです。
第3のステップは助成金申請です。アメリカでは財団・企業・行政がNPOやボランティア団体等に助成金を付けるシステムがありますので、助成金申請の書類を提出します。申請時には3年間助成金を出すことを条件にしてもらいます。そしてこの助成金のことですが、マイアミの場合は1987年にある財団から3年間の助成金として6万5000ドル(約1800万円)をいただき、ディレクター1名、ボランティアを募集するボランティア2名、事務係1名で事業を開始しました。

 

●成功するボランティア団体の運営管理

 

大切なことは目的無しにボランティアをするのではなく、殊に助成金を申請する場合には、地域活動をすることによって、どういった成果が3年後にもたらされるかということを明記しなくてはいけません。3年間私たちが行った試験的なプログラムのおかげで行政に対してのメリット、それから自分達の活動に対してのメリット、協力していただいた諸々の機関に対してのメリットなどが明確になり、1992年のハリケーンのときには行政側から今までの功績を認められ、ハリケーンの復興のための手助けの要請がありました。
このように行政から助成金をいただけるだけでなくて、いろいろな支援をしていただくこともできます。ただ支援をしてもらうためには、行政にどんなメリットを与えることができるのかを日頃から明確にしておくことが大切です。
そして3年間の内最初の頃は報告書を作るための整理をしていきます。2年、3年経ちますと今度は3年が終わったあと、次のプロジェクトにどのようなことをしたらよいのか、という創造力を働かせていくことが大切です。
もう1つ大切なことは、アメリカのボランティアグループもあまりできていないことですが、常にどこへ行っても自分たちのグループにボランティアを募集し続けていく態度が必要です。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION